ある男性の話

彼が生み出す製品のクオリティーの高さ、そしてこだわり。

『匠』という名にふさわしい。

強面で見るからに亭主関白、そういった外見は想像もつかないような繊細な製品。

 

そんな彼と一対一で話す機会があったので、尋ねてみた。

「これからやってみたいことはなんですか?夢は?」

私は興味をもった人にこの質問をしてしまう傾向がある。

当然、これからの製品についての新しい展開の言葉が出てくるとばかり思っていた・・・。

 

「子どもたちも巣立ち、孤児の里親になってみようかとも思ったけれども、親になるには、

必死で生きていく姿を子供に見せる必要がある。

決して十分ではないけれど、生きていくお金がある自分には、

生きていく必死さを子供に見せられない・・・。

給食費も払えないような、親に生活力のない子供たちに何らか生きていく方法を教えたり、

頼れる、相談できる場所を作りたい。

どんな方法があるのか、果たして助けられるのかまだ手探りだけど。

他人ごとではないと感じている。自分自身そんな環境で育ったから。」

そういった言葉が出てきた。

 

なんというか、身に沁みた。

考えさせられた。

 

私のやりたいことは、いつか海外シニアボランティア(協力隊)に参加し、

アートセラピーを通して夢を持って生きていくことを伝えること。

これはアートセラピーを学び始めた頃、麦わら帽子をかぶり白いシャツにGパン、ぬかるみを歩き、

青いビニールシートにためた雨水のシャワーを浴びている自分のビジョンが見えた時に決めたこと。

 

でも、彼の話を聞いて、生きていくことが困難だと感じている子どもたちが身近に居るということは、

容易に想像できたはずなのに、気持ちが外国に向かっていて、全く考えていなかった自分自身に気づいた。

 

彼と何かできる?・・・今の時点で全くわからない。

でも私のやりたいことが大きく形を変えていくことは想像できる。

 

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