死者の書

先日、エジプトについてブログ書いたら、思い出したことがあります。

数年前にエジプト関係の催し物で、『死者の書』というものを見ました。

”冥福を祈り死者とともに埋葬された葬祭文書。パピルスなどに、主に絵とヒエログリフで、

死者の霊魂が肉体を離れてから死後の楽園アアルに入るまでの過程・道しるべを描いた書。”wikipedia より

エジプト展1

存在すら知らなかったものですが、

当時の人々の死後の再生、復活を信じていた死生観があらわれていて、とても興味深かったです。

 

その中に、「罪の否定告白」というのがあり、

これは42に神々の前で、「私は〜しませんでした」という否定の言葉を、

一字一句間違えずにスラスラと告白しなければ、

永遠の命を約束されて再生することが出来ずに、天秤の横に控えている魔物に心臓を食べられて、

永遠の消滅「第2の死」になるという。

 

人々が望む先は、楽園とあるものの、天国、極楽浄土ではなく、

ナイル川のほとりの生前と同じ暮らしが出来る場所。

天国を望むのではなく、同じ暮らしを再び・・・再生、と願うあたりがとても微笑ましいと感じました。

 

この26番に目が釘付けになりました。

審判の否定告白 42カ条
1)盗みをしなかったこと
2)悪事をしなかったこと
3)強奪をしなかったこと
4)盗みをしなかったこと
5)捧げ物の穀物を盗まなかったこと
6)詐欺をしなかったこと
7)神々の財産を盗まなかったこと
8)嘘をつかなかったこと
9)反乱を扇動しなかったこと
10)誰も泣かせなかったこと
11)詐欺をしなかったこと
12)人をだまさなかったこと
13)誰も攻撃しなかったこと
14)神の牛畜を殺さなかったこと
15)悪口を言わなかったこと
16)誰にもつけいらなかったこと
17)耕された土地を荒らさなかったこと
18)誰にも詐欺行為をしなかったこと
19)誰の中傷もしなかったこと
20)理由なく怒らなかったこと
21)不貞をしなかったこと
22)自らを汚さなかったこと
23)誰も怖がらせなかったこと
24)誰も攻撃しなかったこと
25)災いになるような火をおこさなかったこと
26)決して自分の心臓を食べなかったこと
  (決して悲嘆に暮れなかったこと)
27)汚い言葉で罵らなかったこと
28)真実の言葉に耳を傾けないことはなかったこと
29)暴力をふるわなかったこと
30)慌てて裁くことはしなかったこと
31)誰も攻撃しなかったこと
32)会話中に言葉を増やさなかったこと
33)罪を犯さなかったこと
34)王を罵らなかったこと
35)水を汚さなかったこと
36)高慢に声を荒げなかったこと
37)神を罵らなかったこと
38)赤ちゃんの口からミルクを奪わなかったこと
39)召使から食べ物を奪わなかったこと
40)聖なる死者の…を盗まなかったこと
41)神殿にある供物を略奪しなかったこと
42)真実を言う場で嘘をつかなかったこと

 

この26番目以外は盗みや、人を傷つけないことや、慈悲の大切さなど、

現在の道徳と何ら変わらない感じがするものばかりで、

それはそれで、人間って変わらないものだなと、驚いたのですが、

 

この26番、誰しもやっちゃってることですよね〜。

 

私たちは確実に怪獣に心臓を食べられてしまうっていうこと。

 

悲嘆にくれる
”非常に悲しみ嘆くこと。悲嘆すること。
暮れる」は悲しさや思案などにより長い間正常な思考ができずにいるさま。”実用日本語表現より

 

復活を信じていた人にとって、盗みや人を傷つけるなどのやってはいけないことと同様の「悲嘆にくれる」。
「悲嘆に暮れない生き方」の大切さ、もっと考えていきたいなと思いました。

 

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