「定年した主人が毎日家にいるようになって息苦しい。食事の支度が面倒。」
そういったお話のそばで、もう亡くなってしまったご主人を偲び、
主人のためにご飯を作り、一緒に食べたあたたかな食卓を思い出している人がいる。
「もう一度夢の中でもいいから一緒に食事をしたい。」
「夫が子どもを見てくれない。私一人で外出したい。ショッピングに行ったり、
友達とお茶したりしたい。美容院にも、もう半年も行っていない。」
そう話す女性たちのそばでは静かにたたずむシングルマザー。
成長する子どもの服が買えなくて、なんとか行政を頼ろうとするお母さん。
「子供が後追いして困る。泣いてばかりで寝てくれない。」
そんな悩みを話す小児科の隣の婦人科では、
赤ちゃんが欲しくて欲しくて、先が見えない苦しい不妊治療を何年も続けている女性がいる。
「お、いい女!俺の彼女、連れ歩くにはダサくてかっこ悪いな・・・。」
素敵な彼女がいるのに、その彼女と一緒に歩いている時にまで他の女性を目で追う男性。
「もしも彼女ができたらとっても大切にする!
いろんな所に一緒に行って、一緒にたくさん笑いあいたい!」
そうはにかみながら話すシャイな男の子。
本当は幸せなのに、その幸せに気づいていない人が多いのかも知れない。