カリフォルニアのアートセラピー事情

総合病院でのアートセラピー

そこの病院にはアートセラピストが15名ほど。

2〜3名で毎日、半日のアートセラピーを担当している。

 

認知症を含む高齢者アートセラピーに参加させてもらう。

 

ピエロの格好をしたアートセラピストが、パペットを一人ひとりの膝へと動かしながら、

ジョークを飛ばしながら会場を歩いて行く。

あたりの雰囲気が一気に和む。

 

アートセラピストの1人がピアノ演奏、続いてハープの演奏を始めた。

私に向かって「ハープ弾ける?」「全く弾けないよ。触ったこともない。」と私。

「じゃあ15分で弾けるハープ講座!」と、そこからいきなり即効劇が始まった。

私は本当に楽器音痴なので、内心焦ったけれど、そのまま彼女のリードに合わせて、

劇中の人に。

気が付くと本当に彼女のハープの低音部分の伴奏をしていた。

拍手喝采。

 

一緒に歌をうたったり、ボール投げをしたり、笑って、踊って・・・。

俯いたままの人には傍に寄り添い、手を握っていてあげる。

 

一人ひとりの表情を見て、その時、その人に必要な物はなにか、

どうすれば喜んでもらえるのか。

求められているのはエンターティナー!?

と言うより、自分自身がその空間でどれほど楽しめているのか。

どんどんどんどん、自分の心が丸裸になって行く感覚・・・。

 

私がやってきた老人ホームでのアートセラピー、何だったんだろう?
心のなかで何度も何度も、結局押し付けだったのではないか?といった疑問が浮かんできた。

 

5,6名から多い時で20名ほどの高齢者を前に、

体操から始まって、童謡を流しながら前もって告知していた創作にかかる。

補助は若い介護士のお兄ちゃん1人。

それぞれがそれぞれのオリジナルな作品作りを・・・。なんてうたっていたけれど、

そこに座った高齢者の方々の心に、どれほど寄り添えていたんだろう・・・???

 

ものすごく勉強になったアートセラピー実習でした。

 

この病院ではまた、個室、一部屋づつをアニマルセラピストと一緒に(かわいいワンちゃんも一緒に)、

回って、お話を聞くこともさせてもらいました。

 

飛び切りの笑顔のアニマルセラピストとワンちゃん、

ベットから動けない患者さんに話しかけ、患者さんとそのご家族のお話を聞いていく。

ワンちゃんが部屋にはいってきた瞬間、無表情の患者さんの表情がパッと輝き、

ワンちゃんを撫でて心にたまった思いを話していくうち、病院の外にいる人と変わらない表情になっていく。

付き添っている家族の人達の表情も同じ変化を遂げます。

セラピーの力をまざまざと感じた瞬間でした。

 

IMG_1382

 

アートセラピストのJenny。

カリフォルニアの総合病院でアートセラピストとして20年以上活動している。
彼女はベジタリアン、地球に優しくということで普段自転車を使っている。

患者と医療スタッフの架け橋であり、彼女のパワフルな笑顔とあたたかな気遣いに、セラピストの原点を見た気がした。

 

上部へスクロール