アートセラピーでその人にとってのトラウマがなんだかを探り、
少しづつリリースしていくお手伝いができるかもしれません。
”原因不明の慢性的な頭痛や腰痛、なかなか完治しないうつ病や依存症には、幼いころに受けた辛い体験による心の傷「トラウマ」が関係している場合が多くあるのかもしれません。
この研究の最新の調査結果を、米Psych CentralでRick Nauert博士が紹介しています。幼いころに受けた虐待などによるトラウマが、免疫システムにダメージを与え、後にさまざまな病気を引き起こす可能性があるというのです。(文:パッタナカーン山崎)
精神疾患のみならず関節炎やガンにも
米キングスカレッジ大学の研究者は、幼いころに性的・精神的虐待やネグレクトなどを受けた人の血液中の3つのバイオマーカーに、激しい炎症を発見しました。これは精神疾患や2型糖尿病、循環系疾患などの生命に関わる病気につながる可能性があります。
これ以前の研究でも、幼いころの虐待によるトラウマが、うつ病や不安症、PTSDなどの精神疾患にとどまらず、関節炎や循環器系疾患、肺疾患やガンなどの慢性疾患にも関係があることが分かっていました。しかし、詳しい仕組みは未だに明らかになっていません。
研究者は、トラウマと成人してから炎症を起こしているマーカーとの関係を調査した25の研究をメタ分析。1万6000人以上のサンプルを調査した結果、精神的、身体的、性的虐待などのそれぞれ異なる原因によるトラウマによって、バイオマーカーへの影響が違っていることを発見しました。
例えば身体的、性的虐待では腫瘍壊死因子のTNF-αと液性免疫を制御するIL-6という2つの指標のレベルが著しく上がり、炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するタンパク質CRPは発達の初期段階での虐待と関係があることが分かりました。この結果について、同大心理学部のモンデリ博士はこうコメントしています。
「この発見によって、虐待された人たちがなぜ成人になってから精神疾患になったり、身体的にも不調を訴えたりするのかを解明し、さらに予防や治療などの対策を立てることができるようになります」
発生のメカニズムはまだ分かっていない
これらの炎症性マーカーを使って、例えば幼いころに虐待を受け、潜在的に健康のリスクが高いと思われる人を特定し、炎症を抑える治療法を試すことも可能になるでしょう。
トラウマによって炎症のタイプが違う理由はよく分かっていません。年齢や虐待を受けた期間や相手との関係などの要因もあるかもしれません。この解明にはさらなる研究が必要です。博士はこう締めくくっています。
「同じような体験をしても、後に心身に異常を来す人もいれば、そうでない人もいます。幼いころの虐待によるトラウマが、どのように身体に影響を及ぼすかを解明することがとても重要です」” キャリコネニュースより