賢者の書 喜多川 泰
”アレックスが勤める会社は業績不振でこれまで何度もリストラが実行されてきた。家のローン、学資のかかる子供を抱えるアレックスは会社を辞めるわけにはいかない。同僚はほとんど辞め、若い二代目社長は、会社が業績不振になった象徴のようにアレックスを扱い膨大な資料整理の仕事に就かせる。
ある日、ふとした思いつきで幼少の頃過ごしたドイツの街の公園に出かける。
会社の誰もが彼はもう帰ってこないと思った。
アレックスが公園のベンチにかけ過ごしていると、見知らぬ少年が彼に近づいていくる。少年サイードの登場だ。
物語の冒頭で、中年男のアレックスと、冒険の途中である少年サイードは公園で運命の出会いを果たす。ところが、この時点で2人ともこれが運命の出会いと気づいていない。少年サイードはアレックスの隣で軽く眠ってしまう。
アレックスは少年が寝ている間、少年が抱えていた「賢者の書」を読むことにした。
そこには、少年サイードのこれまでの旅の記録が書かれていた。
これまでの旅で8人の賢者に会ってきたことが記されている。
少年は、9人目の賢者とこの公園で会うことになっている。
まだ、約束の時間が来ていないため、少年は一眠りすることにしたのだ。
冒険の書は、サイードが14歳の誕生日に祖父に呼ばれ、世界の賢者に会いに行き教えを乞うように勧められるところから始まる。
9人の賢者に会い、賢者の本を完成させよという使命を与えられる。
祖父はサイードに『賢者の書』を渡す。
中は白紙のページだ。
木製の表紙の真ん中に正方形のくぼみがある。
これから9人の賢者に会い、一つずつピースをもらい、このくぼみにはめ込むと、1章ごとに白紙のページに文字が浮かび上がって来ると祖父から説明される。
最初の賢者は、サイードの祖父自身であった。
サイードはおじいちゃんから、中に何にも書かれていない「賢者の書」を渡された。
これから世界を旅し、賢者から学んだ後、ピースを受け取り本の表紙にはめ込み
「賢者の書」を完成させなければならない。
おじいちゃんはサイードに旅の目的を教える。
賢者からもらったピースをはめ込むと、サイードが理解した内容が記事となって白紙のページに浮かび上がるようになっている。
サイードの頭で理解した範囲でしか「賢者の書」は完成しない。
つまり、理解しようがしまいが、賢者達はサイードにピースを与えるのだ。
おじいちゃんを含め、8人の賢者からピースをもらわなければいけない。
そして、最後の9人目の賢者に会いに行く。
そこで、最後の賢者はサイードが理解した内容が書かれた「賢者の書」を読み、サイードがすべての成功を手に入れることができる「最高の賢者」にふさわしいかどうか判定するという。
そして合格したときに賢者から最後のピースが与えられ「賢者の書」は完成するのだ。
第一の賢者アクト(サイードの祖父)は、壁に掛けていた巨大なジグソーパズルをドンと叩き、1万個ものピースを全部床に落としてしまった。
何年も架けられていた絵はいっぺんにしてバラバラに壊れてしまった。
アクトは床に落ちたピースをいくつか取り上げ、「人間の人生は、大きな絵を完成させることに似ている。このピース1個、1個が行動である。人間は行動した分だけピースがもらえる。でも、これらを2、3個はめ込んだところで、どういう絵が描かれるかわかるはずがない」
アクトが取り上げたピースは真っ黒で、絵の隅っこの部分だった。
黒のピースは行動の結果得られた「失敗の経験」であるとしよう。
それでも立派な行動の結果だ。これを受け取り自分の「絵」にはめ込めば一つの成果となる。愚かな人間は真っ黒のピースは必要ないと判断して受け取らない。
そうすると、天はその男にまた真っ黒のピースを受け取るまで与えることになる。
つまり、失敗も大きな絵を描くために必要な行動であるにかかわらず、不要であると誤った判断をするものだから、いつまでたっても絵は完成しない。
絵の大きさは行動の数によって違う。成功か失敗かは問題ではない。
行動の数によって決まるのだ。行動なくして失敗も成功もない。
大抵の人間が成功しないのは、絵の中心部のピースがなかなか拾えないことから、あきらめ、これ以上傷口を拡げたくないなどと言い訳して行動を起こすことを辞めてしまうからだ。
とにかく行動だ。
行動の結果を一喜一憂するのではなく、成功も失敗も、一個一個集め、経験を積み重ねていくことが大事なのだ。”
ビジネス達人への道 新刊案内より
とても長い引用になりましたが、一人目の賢者の教えでこんなに素晴らしい気づきが得られます。
二人目、三人目の賢者の言葉・・・・それぞれがまた素晴らしく、
ぐいぐい惹きこまれて・・・・。
多くの自己啓発本に書かれていることと、類似している点は多いとは思いますが、
すんなり心に入ってきます。
読み終わって、
人生いつからでもまた新たにはじめられる、そんな気持ちにさせてくれるさわやかな感動に包まれる本です。
物語の中にちりばめられている言葉の数々がきっと心を強くしてくれると思います。
あなたが読み終わったら、大切な人にぜひ薦めてあげて欲しいです。